Sweet-pea’s diaryー大人になった先天性心疾患のブログー

大人になった先天性心疾患を持つ私が、あの頃(16~20歳頃)見つけたかったブログを書いています。どなたかの参考になりますように。PC版カテゴリのはじめにからご覧ください♬

定期検診の思い出 まとめ

さて、定期検診の思い出ということで、3回に渡って書かせていただきました。

 

定期健診の思い出 ~小学生編~

定期検診の思い出〜小学生編part2〜

定期検診の思い出〜小学生編 part3〜

 

当時の気持ちを思い出しながら、回想形式で書いたので、読みづらかったことと思います。ただの日記のようなものに付き合って下さった皆様。ありがとうございます。

 

小学生の事なので、多少思い出に加工が入ってしまっているかもしれません。でも、私の思い出として心の中に残っている記憶は、こんな感じです。

 

この頃は、定期検診に対して、嫌な気持ちは全くありませんでした。だいたいが、

身体計測⇨診察⇨心電図⇨レントゲン

という流れで、時々、間に血液検査やエコー検査をしていました。小学6年生の時に、今後の方針を決めるためにカテーテル検査をしましたが、それまでは、大きな風邪などをひかない限り、1年に1回のペースで通院していました。

 

  この記事を書いていて、当時の気持ちを思い返してみました。すると、母と2人で通院していた頃が懐かしく、ほっこりするような、あたたかい気持ちになりました。注射が痛い。とかそれなりに嫌なこともあったかもしれないけど、その嫌な気持ちは覚えてないくらい、痛いとかそういうのは、その瞬間に感じただけの感情です。

 

日記では、最後の検査が終わるところ、までしか書きませんでしたが、実は私のお楽しみは、この後でした。

 

少し書かせて下さい。

 

全ての診察、検査が終わると、会計に診察券等を提出し、そこからお会計確定まで時間がかかるので、一旦院内のレストランに向かいます。

 

私の通院していた大学病院には、最上階にホテルのレストランが入っており、ファミレスなどとは違う、きちんとしたレストランです。

 

日記で何度か書きましたが、私は、ここのペスカトーレが大好きでした。ペスカトーレなんてお洒落な響きの食べ物、それこそ普段は食べないですし、他のレストランで仮にペスカトーレがあっても頼みません。でも、病院のレストランのペスカトーレは、トマトベースのスパゲッティに、アサリ、エビ、イカムール貝などの魚介類が、ゴロゴロとのっていて、、一口頬張ると、それは、それは、しあわせ〜〜な気持ちになります。母はよく、クラブハウスサンドウィッチを頼んでいました。大人になってから気づきましたが、サンドウィッチが一番お手頃な価格なんですよね。子供には、お洒落なパスタを食べさせてあげて、自分は節約のためにサンドウィッチにしてたのかな。。ありがとう、お母さん!!でも、クラブハウスサンドウィッチもなかなかな美味しさだったんですよ。食べやすいですし。実は、本当に好きで食べていたのかも⁉︎。真相はわかりません笑。

 

でも、診察・検査を終えて食べる、あのペスカトーレは、きっと私の中の特別だったのでしょう。近年、レストランが改装され、10年以上頼んできた思い出のペスカトーレが無くなりました。無くなったからこそ、思い出が美化されたのかもしれません笑。

 

そして、お腹いっぱいになった後に、母と一緒に、会計へ行き、お金を支払っているのを横で眺めつつ、病院を後にします。

 

更に、帰りがけ。体力が余っていれば、キディランド(サンリオやディズニーなどのキャラクターグッズが売っているお店)や、クレヨンハウス(絵本や木のおもちゃの専門店)により、1つだけ何かを買ってもらうという贅沢をさせてもらいました。クレヨンハウスでは、絵本でなく、木で作られた可愛いハンコを1つ選んで買ってもらうことが多かったです。通院の時にしか寄らないお店なので、少しずつ増えていくのが嬉しかったなぁ。

 

長くなってきました。

 

何を言いたいかというと、

 

◯こんなに小さい頃から、病院通いなんて、かわいそうだね。とか、大変だね。とか、言われる事もありました(きっと相手なりの心遣いで)。

しかし、私の中では、かわいそうで大変な思い出ではなく、小さい頃の、懐かしく幸せな1つのエピソードとして、記憶の中にあります。むしろ大切な良き思い出です。そう思えたのは、通院とお楽しみをセットにしてくれた母のおかげなのかもしれません。

 

◯ そして、母との通院は、将来大きくなって、1人で病院に通う、予行練習でもあったのかなと思います。受付から、各種診察や検査の流れ、お会計の仕方、どこにトイレがあって、どこに売店があるのか、など。母と一緒に自然と覚えていきました。高校生になる頃には、定期検診も1人で行っていたように思います。

その辺りは、またいつか書きますね。

 

では、この辺りで、定期検査の思い出〜小学生編〜 お終いにします。読んで下さって、ありがとうございました!

 

定期検診の思い出〜小学生編 part3〜

レントゲン室の前についた。

ここだけ、大人の人と一緒の部屋なんだよな。

名前を呼ばれて、まず通されるのは小さな小部屋。鍵を閉めて、上半身裸になって、

「準備出来ましたら、中にどーぞー」という、先生の合図を待つ。

 

検査室に入ると、レントゲンの機械がある。その奥には、ガラス張りの部屋があって、ここで機械を操作するんだ。

「2枚とるからね。まずは、ここに立って、顎を乗せてね。少し高さを調節するね。」

ウィーン。機械音とともに私の顎が少し高い位置に持ち上げられる。

「両手は、肘を曲げて、ここに置いててね。」

「そう。では、そのままの格好でいて下さいね」

先生はそう言うと、奥のガラスばりの部屋にサッと戻る。

 

「息を吸って、、、」

「止めて下さい」

 

(毎年思う。マイク越しに聞こえる先生の声は、さっきまで話していた声色より、よそゆきの声で、テレビでニュースを読んでいる人みたいになるんだ。何故だろう。)

 

ガチャ。

はい、楽にして良いですよー。今度は横向きなってね。私は、先生の指示か聞こえるより先に、右方向に横を向き、両手で万歳をして、上にあるバーを握る。いつもこの流れだもんね。子供だけどもう、慣れっこだよ。

 

「息を吸って、、、」

「止めて下さい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はい!おしまいでーす。今日はこれでお終いなので、着替えて、お母さんとこれを受付に出しに行ってね。」

 

やっと終わった。

母「お疲れ様。じゃあ、お会計に紙だけ出して、先にご飯食べに行こうか!」

私「うん。お腹ぺこぺこだよ。やっぱりペスカトーレにしよ!!」

母「好きだねー。いつもペスカトーレだよね笑」

 

つづく・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

定期検診の思い出〜小学生編part2〜

薄暗い廊下の先に、子供専用の心電図室がある。

ここは、旧館って所で建物が古いんだって。

なんだか不気味な雰囲気だけど、心電図室の前につけば安心。扉にはミッキーとミニーの可愛い絵がはってある。このミッキーを見るとホッとするんだ。

 

「◯◯◯ ◯◯◯ちゃーん、どうぞー」

「上半身裸になって、ここによこになってね。」

カチャ、カチャ、カチャ、カチャ。

先生は、私の手首と足首に、大きな洗濯バサミみたいなもを手早くつける。

「ちょっと冷たいよー」

続いて、ぺとっ、ぺとっと、胸のあたりに、吸盤を付けていく。ひんやりと冷たい感触が、私は嫌いじゃない。壁には、名探偵コナンのパスターが貼ってあったり、部屋には動物のぬいぐるみや、キューピーやら、色々な子供のものが置いてある。

「じゃあ、少しこのままでいてねー」

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ザーーーーー

 

壁のポスターを、ぼーっと眺める。

(このポスターも、ぬいぐるみもいつも変わらないなぁ。毎年変わらずここにあって、1年に1回しか来ない場所だけど、お家に帰ってきたのうな、ホッとするんような、不思議な感じがするんだよなぁー)

 

「はい、おしまいでーす。服着て、お母さんの所に戻ってね」

 

母:「どうだったー?」

私:「いつも通り」

母:「じゃあレントゲン撮って、ご飯食べに行こう」

私: 「お腹すいてきたねー。今日もペスカトーレにしようかな」

 

つづく。

 

 

 

 

先天性心疾患と医療保険

今日は先天性心疾患と保険の加入について、少し書いていきます。

 

私は、医療保険に関して、考え出したのは結婚して、妊娠してから。

少し遅かったかな。なんとなく、審査で落とされるんじゃないか、とか、入れる保険を探すのが大変なんじゃないかとか、そんな思いで無意識に考えないようにしていたのかもしれません。

 

もっと早く考えて、情報収集をしておけば良かった(笑)

 

子供時代は、父が会社で入っている医療保険の家族加入。みたいなもので入っていました。家族保険は、子や配偶者の審査がない場合も多いようです。しかし、あくまで家族加入なので、子供時代のみ受けれる保証だったりします。

 

妊娠中に、義母のすすめで入ったのは、コープ共済でした。共済系は、持病がある人でも、告知事項が少なく比較的入りやすいです。

 

〇現在、入院中ですか?

〇現在、医師から、今後1年以内の入院・手術をすすめられていますか?

 

この2つのみの告知であったと思います。

 

子供を出産後、夫婦そろって保険についてしっかりと検討しようと、夫の会社の保険担当の方に来て頂き、色々と説明を受けました。わたしは、共済より保障内容が充実している保険会社の医療保険への加入と、がん保険の加入を希望しました。

 

夫の保険はスムーズに決まりましたが、わたしの保険選びは難航しました。当時、投薬はなく、日常生活も送れていた、仕事もできていて、出産も出来た。とてもありがたい状態であったので、なんとかなるだろうと思っていましたが、甘かったです。

 

告知事項でひっかかってしまいそうな要因は、

〇年に1回の定期検査(レントゲン・心電図など)を受けていた事。

→経過良好。と言われていても、検査をうけている事や、医師から指導をうけているという事実。私の身体としては、経過良好だけれども、所見としては、心雑音あり、心電図では完全右脚ブロックあり。なので、一般的にみるとが異常がある状態。ふざけんなーー!!生まれつきじゃい。これが私の普通なのに!!と思いました笑。

〇妊娠中に、妊娠糖尿病になっており、出産後も、産後半年、1年で糖尿内科での外来診察があった事。

〇胸骨正中切開術のオペの際にいれた、ワイヤーを抜去する手術を近年していた事。

〇その他、反回神経麻痺で耳鼻咽喉科音声外来にて手術や、リハビリを行った経緯、その後も、異常がないか確かめるために年1で検査していたこと。

 

などなど、定期健診を真面目に欠かさず受けていた事や、自分の身体を積極的に治療してきた結果、過去〇年以内にうんたらかんたら・・・という項目に引っかる、もしくは引っ掛かりそう、な要因がたくさんありました。

 

保険担当の方はとても親切で、詳しく説明すれば審査で通る可能性が少しあるんじゃないかという保険に、とりあえず審査だけでも提出してみようかな、と言う私の意見を、一度審査の落ちると、その会社にその記録が残ってしまうから、安易に考ええないほうがいい。と教えて下さり、今日はご紹介出来ないけど、また調べてみます。新商品もどんどん出てくるので、あなたが入れそうな商品が出たらすぐにお知らせします。と言って下さりました。

 

この経緯で私が学んだ事。

〇先天性心疾患患者の医療保険の加入には、早め早めの情報収集と、加入するタイミングが重要である。

 →私が、もっと早く保険に関心を持ち、情報収集をしていたら。例えば、命に関わらない、メンテナンスの手術(胸骨のワイヤー抜去や声帯再建の手術)をする前のタイミングで、加入できたかもしれない。症状がとても落ち着いている時期であれば、年に1回の定期検査を1年半の間隔にすれば、その半年間は1年以内に医師の診察や指導、検査を受けていない状態になるので、一時的に加入できる状態をつくる事が出来ていたかもしれない。

 

〇保険に関しては自分で調べるには限界があるので、信頼できるプロの人に相談する。できれば特定の保険会社の人ではなく(そうすると自分の会社の商品のみしか勧められないので)、保険の窓口のような、全ての保険会社の中から最適な商品を勧めて下さる立場の方。そして、自分が加入できる可能性がある商品の告知事項を教えてもらい、その時点で入れなくても、どこかで加入できるタイミングがないか、検討してみる。相談する。

 

〇もしかしたら、比較的若い年齢の時で、出生時の手術や投薬、通院が落ち着き、フラットな時期があるならば、その段階加入しておいた方がいいのかもしれない。小学生、中学生時代は比較的落ち着いていたけど、年齢とともに不整脈が出てきた。とか、再手術の必要性が出てきた。など、健康な人と同じ様に、加齢とともに、病院にかかる率は高くなるし、成人してからの方が審査がきびしくなるそうです。

 

その、半年後だったか、1年後に、保険の方から連絡を頂き、引受基準緩和型  医療保険

(持病・既往歴があっても加入できる保険)で入れそうな商品が見つかったとの事で、無事に加入する事ができました。保険担当の方、親身に考えて下さて本当に感謝です。ありがとうございました! 

 

その時の告知事項は、

 

〇最近3か月以内に受けた医師による検査または診察で、入院・手術をすすめられたことはありますか

〇過去1年以内に、病気やケガで入院したこと、または手術を受けたことがありますか。

〇過去5年以内に、がんまたは肝硬変で、入院したこと、手術をうけたことがありますか

 

の3点です。参考までに。

 

また、私の家系は、がんで亡くなった人が多いので、がん保険の加入もさせて頂きました。こちらは、比較的、心臓の事でひっかかる傾向はなかったので、医療保険に比べたら加入しやすいかもしれません。ただし、先ほど話した通り、タイミングは重要です。

 

たとえば、医療保険はすぐに入れないけれど、がん保険だけでも入れる。という事もあると思います。そしたら、将来の不安も、いくらか、減りますね。

 

ここまで、私が保険に加入するまでの経緯をざっと書きましたが、投薬治療が自分の生活の一部である方、定期的に入院が必要な方、私よりもっと加入までのハードルが高い方もいると思います。どう頑張っても加入できない方も中にはいるのかもしれません。私も、保険の難しい知識はないので、まずは信頼できるプロのパートナーを見つけ、相談してみる。という事が大事ではないかと思います。

 

また、経験不足で、書けませんでしたが、既婚男性の方やシングルマザーの方など、万が一の際に生命保険に加入したい方もいると思います。持病がある方が生命保険に入るのは、医療保険に比べて難しいかもしれません。これも、まずはプロの方に相談してみたほうが良いと思います。

 

また、住宅購入でローンを組む際も、ローン審査は通ったが、団体信用保険の加入が出来ず、ローンが借りれなかった。という事もあります。私がそうでした。団体信用保険が加入できない場合、ワイド団信。という、加入条件が比較的緩やかな保険があります。ただし、借入の金利がすこし上乗せされてしまいます。私は、ワイド団信も審査に出しましたが、やはり 大動脈弓離断症 というワードだけで、簡単に落とされてしましました。トホホ・・です。団体信用保険に加入出来なければ、住宅ローンが組めないという訳ではなく、金利が一定な、フラット35は、団体信用保険の加入する事が絶対条件ではないので、ローンを組めるそうです。結局私は、収入合算(名義はどちらか一方での申し込みだが、収入は夫婦の合計額で審査してくれる)という方法で、ローン借入額を審査してもらい、夫名義ですべてのローンを組みました。

 

もしかしたら、男性の方、や男児の保護者の方の方がより、保険加入について悩むかもしれませんね。救いなのは、いまはどんどん女性も働く時代。男女平等や、性別関係なくという、時代です。男だから、男名義でローン組めなきゃいけない!!とかは、全然ないと思います。女性は、妊娠・出産・子への遺伝、等の悩みが、将来結婚や家庭を持つに当たって、周囲の理解が得られるのか、悩むように、男性だからこそ悩む悩みがある、ということは理解しています。

 

話を戻します。

やはり、普通の方に比べて選択肢が少ない事や、上乗せのコストがかかる事。保険に入らずローンって無謀・・。という思いを持つ方もいると思うし、、保険加入にはさまざまな壁がありますね。病気がなかったら、こんな事で悩まなくていいのに、って思うし、審査で落とされると、あなたは長生きできませんって言われているような気がして、どこかで自分が否定された様な気がして傷つくし。

 

先天性の病気を抱える人が、もっともっと生きやすい世の中になっていってほしいなと思います。

 

先天性心疾患の方の生命保険。という商品が作られてほしいものです笑。

定期健診の思い出 ~小学生編~

さて、今日は年に1回の定期健診にまつわる思い出 を書いていきます。

 

普通に書いても面白くないので、当時の気持ちになって、日記形式で書いてみようと思います。設定は、小学低学年くらいのイメージでお願いします。

 

今日は水曜日。1年ぶりの検査の日だ。

学校をお休み出来るし、母と2人でいれる今日は、なんだかワクワクする。それに、小さい頃から通っているこの病院は、心地よいし、看護師さんや先生も優しいし、何もしなくても、大人に、頑張ったね。って褒められるから、少し楽しみなんだ。待ち時間が長いのは少し嫌だけど。お母さんがきっと、メモ帳とぺんを出してくれるから、お絵かきだって出来るし、自分のかばんにも、好きな本とかゲームとか、色々入れておこう。そうそう、待ち時間より、嫌な事があった。病院までは、家から1時間かかるんだけど、電車がすごく混んでて、乗っている人はみんな大人だから、背の低い私だけ埋もれるみたいになって息苦しいんだ。でも、嫌な事はそれだけかな。

 

病院に着いた。まずは、診察券と保険証を受付に出しに行こう。お母さんに付いていけば大丈夫。全部やってくれるから。そうだ! 先に、トイレに行っておかないと。いつ呼ばれるか分からないから。途中で行きたくなると、行っている間に自分の順番が来て、ほかの人に抜かされちゃったら嫌だかららね。

 

まず最初に、名前を呼ばれるのは5番の部屋。ここでは、身長と体重をはかるんだ。看護師さんが優しいし、すぐに終わるから、5番の部屋はもう私1人で入れるんだ。そういえば、赤ちゃんの頃は、身長はかられる時にすごく泣いて大変だったってお母さんが言ってたな。

 

看護師さん:〇〇〇 〇〇〇ちゃーん。中にお入りくださーい。身長と体重図るから、奥のカーテンの中で服を脱いでね。準備が出来たら教えてね。・・・・・・・・・・

私:できましたー。

看護師さん:はい、じゃあ身長から。身長は、〇〇センチだね。次は隣の台にのってね。はい、体重は〇〇キロ。じゃあ、先生の部屋から名前が呼ばれるまで、廊下の椅子に座って待っていてね。

 

母:終わった?

私:うん。身長が〇〇センチだったよ!

母:あら、伸びたじゃない。体重は?

私:〇〇キロ。

母:じゃあ、もうすぐ20キロ祝いしなきゃね!!

 

お母さんは、体重がが増える度に喜んでくれた。10キロ祝い。15キロ祝い。次は20キロ祝いか。まあるいケーキにろうそくたてて、〇〇キロ祝い!って書いてあるチョコレートの板が真ん中に置いてあって、誕生日みたいに皆でお祝いしてくれるの。こないだ友達に聞いたら、皆のおうちはやらないんだって。家だけ特別なのかな。

 

さぁ、ここからが長いんだよね。先生の診察はたくさんの人が待ってるからね。でも、色んなお楽しみグッツを持ってきたから大丈夫。お母さんとおしゃべりしていてもいいし。お母さんも、なにか1冊本を持ってきているみたいだけど、あれは大人の本だから、私には分からないや。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ピンポーン

《〇〇〇さん、〇〇〇 〇〇〇さん、小児科診察室7番にお入り下さい。》

 

あっ、お母さん呼ばれたよ。早く行かなきゃ。

診察室に入ると、先生が座っている。

「元気だった?」とか、「大きくなったね」とか、私に話しかける。

次に、お母さんの方を見て、「いかがですか? 何か変わった事はありませんでしたか?」って聞くんだ。

 

それから、「ちょっとお胸の音聞かせてねー」と言って、聴診器で私の心臓の音を確認してくれる。まずは前から、前が終わると、くるっと椅子を回転させて、今度は背中から。聴診器は少しひやっとして冷たいんだ。

「はい。おしまいです」聴診器が終わると 、隣のベッドに仰向けになって、膝を立ててるように言われる。それで先生が、おなかの辺りを手で押したり、もう一度聴診器をあてたりするんだ。最後は、血圧計っていう大きな機械をもってきて、私の右腕にねずみ色の布を巻いて、シュッシュッって空気を入れて血圧を測るんだ。私は右腕でしか血圧は測れないんだって。自分で覚えておくのよとお母さんから言われてるから、ちゃんと覚えているんんだ。

 

「はい。これでおしまいです」

私は、ベッドから起き上がって、さっきの椅子に座る。お母さんはこの時、真剣な顔をしている。先生は、「心臓からの雑音はありますが、いつも通りで変わりありませんよ」と笑顔で言う。続けて、「この後、レントゲンと心電図に行って下さいね。結果は来週でいいですか?予約いれておきますね。」と先生。

私はお母さんと一緒に、先生にお礼をして、診察はお終い。

先生、また来年ね-!!

 

ここまで来たら、あと少し。レントゲンと心電図をとりにいこう。

「全部終わったら、レストランで美味しいもの食べようねー」

「何が食べたーい?」

などと話しをしながら、あとの2つの検査をのりきるんだ。ここまで来ると、持ってきているお楽しみグッツも飽きちゃって役にたたない。あとはひたすらお母さんとおしゃべりしながら、時間をつぶそう。

 

つづく

 

 

  

きれい事。かもしれないけど・・・

さて、この身体に生まれて良かったこと。

について、書かせて頂きました。

 

私は、結婚式で、母と今まで支えてくれた全ての方へ。スピーチをしました。

そこで言った事を一部紹介させて下さい。

 

こんな身体に産んでしまって申し訳ない。と、もし、一度でも思った事があるのなら、それは違います。今まで起こった全ての事が、人生の糧となり、今の私がいます。

 

この言葉に尽きると思います。

 

病気を持っている事で、辛い事、悩む事、できない事も、多々あります。ここまで、良かった事を書きましたし、マイナスも全て糧になるとお伝えましたが、本当に辛いその時は、そんな前向きになんて考えられません。

 

私は今でも、一進一退で、何かあると傷ついたりもします。ここまで話したように、前向きになれない瞬間もあります。

 

でも、それを1つ1つ経験していくことで、その全てが私の糧となっています。人生その繰り返しなんだと思います。

 

健康な人も、そうでない人も、これは同じかもしれません。でも、苦労をした分だけ、たくさんの糧ができ、将来、心が豊かになれると思います。そう思うと、病気も悪いことばかりではありません。

 

私は、リハビリの仕事をしていますが、現実には、進行性の疾患の方や、身体の機能としての回復は難しい方、様々な方を目の当たりします。私が今まで書いた事が、簡単な事ではないし、きれい事かもしれない。と思った事もありました。

 

しかし、綺麗事でも、大切に、いつも心に留めとこう。と思います。

 

辛くて、苦しくて、前が見えない、そんな人がいたら、近くに寄り添ってあげられる人で居たいと思います。無理やり、人を変えことは出来ないから、その人が自分から前に歩き出せるまで、隣にそっと寄り添っていてあげる事が、大切なのだと思います。

 

ご家族、ご友人、恋人、その方を支える全ての方へ。

辛い時、苦しい時、そっと隣で見守っていて下さい。その時の気持ちを聞いてあげて下さい。いつか、それが、大きな糧となるその日まで、心折れぬよう。

 

先天性心疾患ご本人の方へ。

(あの頃の私へ。)

辛かったら、苦しかったら、無理せずに、周りを見渡して、誰かにその感情を話して下さい。小さい頃から病気の人は、頑張り屋さんが多いから、時には病気を理由にしたって、甘えたっていいんです。自分1人で抱え込まないで下さい。いつか、それが大きな糧となって返ってくるその日まで、心折れぬよう。(周りに信頼出来る人がいなかったら、InstagramTwitterで検索すれば同じような境遇の方沢山います。私もいます。1人じゃありません)

この身体に生まれて良かった事 ②

前回の続き…

 

まずは、前回あげた項目も含め、箇条書きにしていきます。まとまりが無くなるかもしれませんが、ご容赦下さい。

 

◯ささいな当たり前の事に幸せを感じられるようになった。 

 

◯早い段階から将来やりたい事が決まっていた。

 

◯ ものごとを多角的な視点から見れるようになった。

 

◯ 障害をもって生きるという事を知れた。世界には、色々な人がいて、それぞれが生きているという事を知れた。周りに優しくなれた。

 

◯ 何かを失ったり、出来なくなっても、それを乗り越える過程 (乗り越えられなくても向き合っていく過程)で、必ず何か得られるものがあり、それは、その人をより豊かな人間にしてくれる。

という事を知った。

⇨その何かは、人によって違うと思います、当たり前の幸せだったり、家族や友人、支えてくれる人の愛情だったり、価値観だったり。

 

◯ある日突然当たり前のことが出来なくなる、不安やもどかしさといった気持ちを知った。

また、必ず、なった本人にしか分からない辛さ、言葉では表現しきれない思いがある事を知った。

⇨分かろうとしたり、歩み寄ることはとても大事です。それと共に、「本人にしか分からない辛さがある」という事を知っている事が大切だと思います。特にそういう医療従事者が増えてくれたらいいなと思っています。