Sweet-pea’s diaryー大人になった先天性心疾患のブログー

大人になった先天性心疾患を持つ私が、あの頃(16~20歳頃)見つけたかったブログを書いています。どなたかの参考になりますように。PC版カテゴリのはじめにからご覧ください♬

坂道

今日は午後から坂道を登ります。息子の小学校は丘の上にあり、最後の数分は急な坂道を登らなければなりません。その坂道は、それほど長い距離ではないのですが、後半に差しかかると心臓の鼓動がドキドキと早くなり、息が切れます。「もう休憩しないと無理かな」と思う頃に、ちょうど校舎が見えてくるので、なんとか途中で立ち止まらずに最後まで登り切れます。授業参観や懇談会と言った学校行事では、「学校に着くまでに他の保護者の方に会いませんように。」と心の中で祈ります。他のお母さん方は、2人組、3人組、と言ったように、仲の良いお母さん同士でおしゃべりをしながら坂道を歩いていますが、私の心肺機能では、会話をしながら登りきる事は少しキツいのです。

 

小学生の頃の高尾山遠足(山登り)は、親の判断で欠席しました。私が子供の頃に住んでいた所は坂が多い地域でした。中学生の頃は、心臓の手術直後だったので、毎日母に学校まで車で送迎をしてもらっていました。まだ無理が出来ない心臓でした。お年頃だったので、他の同級生に「車で送ってもらっている」事がバレたくなくて、なるべく人通りが少ない道を通ってもらい、こっそりと車に乗り降りしていました。それでも、気づく人には気づかれてしまい、からかわれた事もありました。そのからかった人も、色々経験して今頃優しい大人に成長している事でしょう。そう願いたいです。高校生になると、少し体力がついてきて、坂道も自分のペースで歩けるようになりました。心臓のドキドキや息切れもしますが、大分慣れてきたように思います。大人になって新婚旅行でハワイに行った時、ハワイのシンボルであるダイアモンドヘッドには登りませんでした。高尾山遠足を欠席した事が今更ながら頭によぎり、無理をして登ることもないかなと思い止めました。けれど、後から知ったのですが、ダイアモンドヘッドは30〜40分くらいで登り切れて、子供から年配の方まで安心して登れる山らしいです。やっぱり登ってそこから見える絶景を眺めておけば良かったなと今は思います。夫と一緒なら、遠慮なく途中で立ち止まって休憩もできたでしょうし・・・。

 

今でも坂道や長い階段は苦手です。が、自分が “理学療法士として居る時間” は、全く苦になりません。私は訪問リハビリを行っているので、患者さんや利用者さんと屋外歩行の練習を行う事もあります。坂道や階段の練習も行います。ある時、脳梗塞後不全麻痺の若い患者さんがいて、その方が自分で掲げたリハビリの目標が、その地域にある名物「100段階段」を登り切る事でした。その方の練習に寄り添う私は、いつも通り心臓のドキドキも息切れもしますが、心臓の鼓動音も、息切れも隠して、笑顔でその方に声かけをして応援しながら、最後まで100段を登りきることが出来ました。リハビリの時間は運動の専門家である “理学療法士” で居れるのだと思います。「こんな私が理学療法士をやっている」という事が、病気や障害、加齢によって、自分の思い通りに、自由に体が動かせない人の気持ちに、寄り添う事なのかもしれません。

 

今日は『坂道』をテーマに書いてみました。

 

最後に・・・、坂道には全く関係がありませんが、最近一番くじでゲットした、スパイファミリーのアーニャの人形を載せて終わりにしたいと思います↓

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おしまい。