いつだったか、リハビリをしていて、
「上手く歩けないとか、腰が痛いとか、人に言うほど大袈裟な事ではないけれど、
自分では気になってしまう、毎日の小さな困り事とかってありますか? 」
とある方に聞いたら、そういう観点は素晴らしいとたいそう褒められ、ありがたがられました。QOLをあげるのが我々の仕事なので、褒められるような事ではないのですが。これも、声を出すという当たり前のことが出来なかった。という経験をしていたから、自然と言葉に出せた質問かもしれません。
以下、以前の記事の抜粋です。
❝ 専門学校に入学する頃。私の声は少し小さめながらも、日常生活では大きな支障がないくらいまで、改善していました。ある程度、声らしい声は作れるようになっていました。ただ、本人にしか分からない声に感する困りごとは、毎日の様にありました。話がそれてしまうので、今日それを書くのはやめておきます。❞
今日は、この文章で書いた、『本人にしか分からない毎日の困り事』について書いてみたいと思います。
☆
皆さんには、自分にしか分からない毎日の困り事ってありますか?
半年や1年に1度の診察では話す程でもない小さな事。
数えたらキリがないからいちいち人には話さない事。
でも話さなかったらそんな場面で困っているなんてきっと誰にも気づかれない事。
気づかれないから、1人ひっそりと我慢してしまう事。
小さな不便さだけど毎日の事だから、その度にほんの少しチクチクして、ほんの少しイライラして、ちりも積もって、自分に病気があるという事を自覚させられます。
私はいつか、今まであった小さな毎日の困り事を箇条書きにして、ブログに書きたいな。と思っていました。そしたら、その思いが浄化されるかもしれないし、それを読んだ人達も、「私もこういう事ある!」って言いやすくなったらいいなと思って。そして、まずは、ノートに思いつくままに箇条書きにしてみました。そしたら、今度は誰かに直接聞いてほしくなって、通院しているクリニックのカウンセリングの心理士さんに聞いてもらいました。
自分の中に溜め込んでいたものを解き放つような。そんな感覚でした。
皆さんも、こんな困り事があるよって事があったら、教えて下さい。
ツイートでもPOSTでも、DMでも♬
では、ここから先は、私の毎日の困り事の一部を箇条書きで書いてみます。読まなくても良いですよ(笑)。
声の事で困ってきた事
◯ 授業の最初にする出席の返事
⇨小さい声が先生まで届かない。伝わらないと欠席扱いになりそうになる。急に声を出すと、上手く発声出来ずに、声が裏返ってしまう事もあって、恥ずかしい。点呼前は、自分の順番が近づくと少しドキドキする。声の調子が悪い日は、出席しているのに友達に代返してもらった事もある。
◯ 音楽のテスト
⇨会話するだけで精一杯なのに、皆んなの前で歌って評価されるなんて。拷問。
◯ 美容院
⇨シャンプー台に寝そべる姿勢は、首が伸展して(気道確保みたいな姿勢になって)、唾液で誤嚥しそうになる。
⇨声も出し難い姿勢になるから、「お湯加減いかがですか?」と聞かれて、返事をするのもつらい。
⇨ドライヤー中に話しかけられても、声が小さいから伝わる声を出すのに必死。
※ でも、そこでいちいち病気の事を説明するのもなんかな。とやり過ごしていました。
◯ 歯医者
⇨仰向けになって、口を開いている状態を続けると、唾液で誤嚥しそうになる。
※これは、もし治療中に誤嚥してむせたら危ないので、大人になってからは、先生に言いました。そしたら、ベッドを倒す角度を少し緩やかにしてくれたり、口の中に唾液が少しでもたまったらすぐ吸引してくれたり、いろいろと工夫してくれました。
◯ 授業中に教科書を朗読せよという、先生からの指名。
⇨小さな声だと文句を言われるし、会話と文章を読むのとは少し発声の方法が違って、声帯が麻痺している人にとっては、後者の方が難しい。話している内に、喉元が辛くなってくるし、声が裏返るし・・・。ただの苦行。
◯ 模擬面接
⇨声が小さいです。という、治せないアドバイスを必ずされる、ただ落ち込みに行くような儀式。
◯ 飲み会
⇨これは今でも、賑やかな居酒屋さんとかだと、自分の両隣と、正面の人くらいにしか、普通の声は届かない。離れた人と会話するときは、涼しい顔して、内心全力で発声している。
◯ 「風邪ひいた?今日、なんか、声変だよ。」と1ヶ月に1回くらい言われる。
⇨ 今でも、声が出にくい日、出にくい時間帯が、たまにあるんです。変な声って言わないで下さい。
声以外の事で困っている事
◯ 背中から腋窩にかけての手術痕と、下腹部の手術痕は、時々痛む。
⇨古傷が痛むというやつですね。ひきつる感じでピリピリチクチクと。
◯ 手術でメスを入れた影響か、極端に弱い筋肉がある。
⇨右側の腹斜筋と、左側の肩甲骨を固定する筋肉。理学療法士になってから気づいた病的な弱さ。左手に力を入れにくく、ドライヤーを左手に持つのも辛い。人にリハビリをするのも右手や、他の場所でカバーしている。左肘を机についてしまう癖と、いつも足を組んで座ってしまう癖は、それぞれ固定点を作る事で、姿勢を保持する筋肉の弱さをカバーする自然な動作だった。けれど、昔は自分でも分からなかったし、色んな場面で、マナーとか、お行儀という観点で、姿勢を指摘された。それに、こんな感じでいちいち説明するのも面倒だし、説明しても、相手を???って表情にしちゃいそうなので、今初めて書きました。
◯ ちょっとした事で息が切れたり、頻脈になりやすい。
⇨坂道や、階段を登りながら、会話を続けるのは実は少し大変。仕事中は、患者さんにバレないように、会話を続ける事が出来るけど。
こんな感じで、数えたらキリがないくらい、些細だけど、割と頻繁にある毎日の困り事があります。皆さんも、『自分にしか分からない困り事』があると思います。もし、教えてくれる人がいたら、教えて下さいね。
今では、声が出しやすくなって、“日々の困り事” は減っていますが、この不自由さや、当たり前の事が出来なくなる時の思いや感覚は、絶対に忘れないようにしたいと思っています。それを知っている事が私の強みだから。
読んで下さってありがとうございます。
おしまい。