声帯が麻痺した日。
手術が終わって、左の反回神経はバッサリと切断されて、私の片方の声帯は麻痺しました。この日から、声を出すことと、食べ物を飲み込むことが当たり前ではなくなりました。手術直後は、人工呼吸器が入っているし、意識も朦朧としていて、声は出せません。人工呼吸器が外された後は、呼吸が苦しくて、会話をする余裕がありません。
ICUから、病棟にある集中治療室に移動した後、看護師さんが吸い飲みでお水を持ってきてくれました。吸い飲みからほんの一口、口の中に水を入れ、飲み込む私。直後、その水を一気に吐き出し、今まで経験した事がない程、激しく苦しくむせ込んでしまいました。目からは自然と涙がこぼれ、苦しくて息が出来なくなるほどです。一瞬何が起きたのか分かりませんでした。
後に、これが、声帯が麻痺したことによる影響なのだと知ります。
誤嚥・・。ですね。(飲み込みに失敗し、飲食物が気道に入ってしまうこと)
声が出ないことより、飲み込む機能の障害を、最初に経験しました。
そこから、しばらく飲食禁止。2週間くらいだったでしょうか。実際にはもっと短かったかもしれません。でも、息苦しさと、空腹感で、時間の流れがすごく遅く感じて、自分の感覚では2週間くらいでした。夢は毎晩、食べ放題のバイキングに来た夢。面白い程、毎晩毎晩、食にまつわる夢でした。人間の3大欲求おそろしや。です。
つづく。