Sweet-pea’s diaryー大人になった先天性心疾患のブログー

大人になった先天性心疾患を持つ私が、あの頃(16~20歳頃)見つけたかったブログを書いています。どなたかの参考になりますように。PC版カテゴリのはじめにからご覧ください♬

大切な思い出②~先生から教えてもらったこと~

先生との大切な思い出。

続きから。

 

先生からされて嬉しかった事。

 

〇 2度目の手術が終わって、ICUで目を開けたその時、

目の前にいてくれたのは先生でしたね。

朝か夜かも分からない、機械音だけが鳴り響く非日常的な空間で、

先生が側にいてくれて、私は安心した気持ちで意識を取り戻しました。

 

〇 目覚めた私に気づいた先生。

先生と数秒間目があって、しっかりと私の目を見ながら、

ゆっくりと、穏やかに、だけど真剣な表情で、

首を横に振る先生。

数秒の言葉のないやり取りでしたが、

私はすぐに、今回の手術も成功しなかった事を知りました。

この時、笑顔で胡麻化したりせずに、

子供だけど、1人の患者として、真摯に事実を伝えてくれた事。

先生、ありがとうございました。

 

〇 次の手術が決まるまで過ごしたのは、大人の心臓血管外科病棟。

先生は、小児科病棟の先生だから、もう私の担当ではなくなりましたね。

それでも、寝る間もないくらい忙しい仕事の合間をぬって、

毎日必ず1回、私の元へ顔を出してくれた先生。

大人の病棟で、おじいちゃん、おばあちゃんに囲まて、

それまでお世話になった小児科の看護師さん達も居ない環境で、

見慣れた先生が会いに来てくれる事。

私にホッとする安心感を与えてくれていました。

 

〇 大人の病棟でのベッド上安静生活は退屈でした。

私は、両親が買って来てくれる本を読んで時間をつぶしていました。

1日に、2-3冊くらいは読んでいたと思います。

"さくらももこ"のエッセイ集なんかよく読んでたなぁ。

そして、いよいよ読む本も尽きてきた頃、

いつものように顔を見せに来てくれた先生の手には1つの紙袋が。

その中には、ぎっしりと沢山の本がつまっていて。

自分が持っている本は女の子向けじゃないからと、

病棟の看護師さん達にも声をかけて、色々な本を集めてきてくれましたね。

その中の1つが『鏡の国のアリス』。

私の大切で大好きな本。

実は、今お世話になている主治医の先生も、

アリスや、著者のルイスキャロルについてとても良く知っていて。

色々教えてくれて。

私の大切な2人の先生から教えてもらった『アリス』は、

私の中でよりたいせつな特別な本になりました。

 

〇 私の父が、病棟で音楽を聴けるようにと、

CDラジカセとヘッドホンを買って来てくれた数日後。

先生は、今度は、紙袋いっぱいのCDを貸してくれましたね。

実は、先生の私物のCDは黒人シンガーのアルバムばかりで、

まだお子ちゃまだった私にはよく分からず、全部は聞けませんでした(笑)。

でも、その優しさはすごく嬉しかったです。

ありがとう、先生。

 

〇 ある日、いつまでたっても先生は現れず。

とうとう消灯時間になりました。

今日は忙しかったんだろうな。と思いながら私は就寝。

 

翌日。ある看護師さんから教えてもらいました。

 

『昨日の消灯後、結構遅い時間になってから、〇〇先生が現れたのよ。それで、暗い中、〇〇ちゃんがいる女性部屋に入ろうとして、夜勤の看護師さんに怒らたんですって。いくら先生でも、夜中に勝手に女性部屋に入らないで下さい!!って。』

 

ちょっと面白くて笑っちゃったけど、嬉しかった。

そこまでして、「毎日1回は顔を出そう」という行為を。

きっと、先生自身が、私の為に何が出来るか考えて、

これだけはしてあげようと決めたであろう行動を。

こんなにも守ってくれて。

今なら、なんとなく分かるけど、やっぱり自分の所属ではない病棟をウロウロするのは目立つし、ましてやまだ研修医で。それも消灯後にウロウロしていたら、いくら白衣を着ていても、病棟の人ではないから、変質者扱いされちゃうし・・・。

 

そんな、真面目でひたむきな優しさが嬉しかったです。

 

〇 その後3度目の手術を受ける私ですが、

 

ICUに入った手術当日も、

 

意識がもうろうとしていて、目の前の先生の顔は見えるけど、

息苦しさで言葉が発せられなかったあの日も。

 

HCUに移って、毎日サクションと採血漬けのあの日も。

 

毎日、毎日、変わらず私に会いに来てくれましたね。

先生は入院した初日から、退院する最後の日まで、

ずっと、継続して、私を見守って下さいました。

それは、先生だけでしたよ。

 

私が理学療法士になって、どんなに忙しくても、

毎日欠かさずに行っていた事。

それは、担当患者さんのベッドサイドに、リハビリがある日も無い日も

必ず顔を出す事。

 

これは、私が先生にされて嬉しかった事だったから。

 

先生からたくさん大切な事を教えてもらいました。

『患者さんに良くなってもらいたい。』と願う、

医療者として一番大切な気持ち。

まっすぐ向き合うその姿勢。

 

全部教科書にはのっていない事。

 

心から感謝しています。

 

※この時と同じ時期の事を書いた記事です

過保護と必要保護⑦〜中学生編〜

過保護と必要保護⑧〜中学生編その2〜

 

つづく。