こんにちは。
以前、プールの授業での話題を通して、社会的不利やハンディキャップについてのブログを書きました。
読んでいない方は、先にこちらから目を通して頂けると嬉しいです。
私や◯◯◯さんだけでなく、他にも沢山の方が悩んできた、悩んでいる。
そんな声が聞こえてきました。そして、皆さんの体験談や、その時感じた事。問題点や、こうやったら助かるのにという解決策など、皆さんが色々な事を書いてくれました。私が知らない事も沢山ありました。
書いてくれたのは、大人になった先天性心疾患の皆さん、先天性心疾患や医療ケアが必要とされるお子さんの親御さん、守る会の方、昔クラスメイトに病児さんがいたという方など、様々な立場の方でした。
上手く書けるか分からないですが、一部紹介していきたいと思います。
ここに、私とのやりとりやコメントをそのまま載せてもいいよって言ってくださった方もいます。ありがとうございます。しかし、予想以上に多くの方に反応して頂いて、皆さん色々な考えをお持ちでしょうし、全ての方に確認した訳ではないので、ひとまず、私なりにまとめて書いてみます。
まず、体育の時間の過ごし方について。
成人先天性心疾患(大人になった先天性心疾患児)の方から、多く聞かれたのは、
ほとんどの体育、もしくは体育の実技全般を見学していた。見学するしかなかった。
小中高と体育は全て見学だった。
という声でした。また、心疾患ではないけれど、慢性的な怪我などで数年間体育に参加出来なかった。という方もいました。確かに、骨折やじん帯断裂、怪我などの整形外科的な疾患で、1年単位で運動に参加できない場合もありますね。
他には、全国心臓病の子供を守る会の方から、プールに限らず、マラソンや、体育全般を見学する病児さんは多いです。と教えて頂きました。
同じ問題を抱えている方達が、思っているよりも多くいるんだなと思いました。
そして、皆さんその状況に対して、どうしてきたのか。
教えてくれた事を書いていきます。
〇実技が出来ない代わりに、レポート課題を提出した。
〇中間テストや期末テストなどの、筆記テストで点がとれるように頑張った。
〇授業ごとに、ノートに授業の内容や感想を書いて提出していた。
主にこの3つの対応をしていた方が多かったです。
皆さん、頑張りやさんの方が多いのか、実技が出来ない代わりに書くレポートも真面目にしっかりと取り組んで、より完成度の高いものを提出したり、筆記テストを頑張ったり、それぞれが努力や工夫をしたようです。
その努力や、自分が出来る事を真面目に取り組んだ結果、成績という形でどのように評価されたのでしょうか。
ほとんどの方の体験談では、
5段階中の成績は"1~3"のどれかだったというのが多かったです。
レポート課題などをしっかりと提出し、
筆記テストもそれなりに点数をとれたとして、
よくて" 3 "。
レポートをしっかりと提出しても、" 2"だった。
中には、学期の途中と入院期間が重なり、出席日数不足で"1"になった方。
今とは違い成績のつけ方が『相対評価』だった時代、
持病で体育が全て見学であったクラスメイトが、
"1"をつけられていた。というエピソードもありました。
(相対評価とは・・生徒を成績順に並べ、5が全体の7%、4が24%、3が、2が、1が7%となるように、成績を上から順に割り振っていく評価の仕方。したがって、学年の中で必ず5の生徒も1の生徒も存在する、そんな制度です。ゆとり教育が始まる前の2000年頃まで取り入れられていた方式。だそうです。)
そして、私たちはその時どんな気持ちになったのでしょうか。
歯がゆかった。
悔しかった。
むなしかった。
どんなに取り組んでもどうせ3以上はつかないのに、まじめに見学することや、レポートを頑張る事に何の意味が?と思った。
レポートを頑張って良い物に仕上げたが、レポートを提出したかしていないかくらいにしか評価されず、内容は関係なかった。レポート提出すれば、とりあえず"3"みたいな。あの努力はなんだったのか!
皆がプールで楽しそうにはしゃいでいる間、ジッと暑さに耐え見学や掃除などのお手伝いをし、放課後に1人で頑張ってレポートを完成させた。けれど、楽しそうな皆より高い評価は絶対もらえない・・。
今年受験生で、塾の先生からも、4以上をとるのが普通だと思ってと言われた。でも、プールの時期はどうしても成績が下がるから、どうしよう。不安。
持病を抱えるお友達が"1"という評価をつけられた。という方は、
そのお友達は頭がよく他の教科はほぼオール"5"だったが、体育の低い評価の為に、志望校へ行けなかったらしく、「お医者さんにとめられているんだから、評価に入れるのはおかしじゃん」とクラスの皆でキレたそうです。
そんな中、数少ない貴重な体験談ですが、こんなエピソードもありました。
2つご紹介します。
まず1つ目。
20年以上前、相対評価だった頃のお話。体育の成績が"1や2"になってしまった病児本人さんに、体育の先生が言った一言です。
「レポートとかはちゃんと出来ているんだけど、規定の出席日数に足りていないと成績つけられないことになっているからごめんな・・・」
先生自身もモヤモヤ感が多少あった様子だった。との事でした。
成績をつける教員側も、評価の仕方とか、仕組みとかがあって難しいのですね。
実際に教職をとられた方も、同じような事を教えて下さいました。
そして2つ目のエピソードは、
怪我で2年ほど体育を受けれなかったという方が紹介してくれたお話です。
他の生徒からは、あの子だけずるいと言われたけど、先生は怪我の事を理解してくれていて、レポートの課題を出してくれて、その出来具合でちゃんと5段階の中から成績をつけてくれて、5をくれた。いい先生だった。と。
すごく励みになる体験談だと思います。周りの目、大変でしたよね。
でも、1人理解してくれる味方がいるというのは心強いものだと思います。
この方は、出来ない事があっても、出来る事を精一杯やったらその人にとっては、それが全力なのだから、それを正当に評価される権利はあると思う。とおっしゃっていました。私も、その通りだと思います。
頑張っているという基準は、その人の持っている能力の中で精一杯ということで。決して、身体をはるとかではなくて、物事に向き合う姿勢や心持ちの問題で。頑張っている人が報われる世の中になってほしいです。
ここまでも話をまとめます。
先天性心疾患を持つお子さん、またその他の病気やケガなどで、体育の一部(水泳やマラソン)もしくは、体育全般を見学しなけらばならない。という子供達は多く存在します。そして、その子たちは、筆記テストを頑張ったり、先生から出されたレポート課題に取り組み提出したりして、体育の実技に参加出来ないという事をその子が出来る方法で補おうとしています。しかし現実には、体育は実技重視。体育を参加出来ずに見学したという事実が全てで、他の様々な取組み方は、体育を参加した生徒と同じようには評価されず、成績は良くて3。それ以下も・・。そして、その時私たちは、やりきれなさや、受験に対する不安感など様々な気持ちを抱きます。
話をすすめます。
私は、人の価値みたいなものは、決して成績表に書かれた数字なんかでは測れないと思っています。しかし、現実問題として、受験には数字が影響しています。
この事について、親御さん達も触れていました。また、この記事を書くきっかけを与えてくれた中学3年生の〇〇〇さんも、受験生なのにどうがんばってもこの時期の体育の成績は下がってしまう。と悩んでいました。
では、体育の成績が下がると、どのように受験に影響が出てくるのか。
皆さまから頂いた意見をまとめてみます。
高校受験する時や、推薦入試を受ける際、学校の成績は評定平均という数値で評価されます。評定平均とは、全ての教科の成績を足して、その教科数で割ったもの。例えば、体育の成績が低くても、その他の評価を頑張れば、ある程度評定平均は上がります。しかし、すでに体育以外の全ての教科を頑張っていて、体育以外はオール5に近い成績をとっていたとします。本来ならば、かなり上の学校をねらう事が出来る学力です。そこで、体育が3だったり、2だったりしたら、評定平均は下がります。すでにほかの教科は5に近い成績を取っているので、他に評定平均を上げる術がありません。結果、その子の本来の実力よりも、少し低い偏差値の学校しか選択できない。
という場合があるそうです。推薦入試も同じです。
高校によっては、3年間で1つでも"2"がつく教科があると、推薦を受けられない。とか、特待生制度を受けられない。という所もあるそうです。
本人の努力次第でどうにもならない事があまりにも多いと、しんどくなってきますし、全ての子供に平等に可能性は開かれるべきだと思います。
また、京都に住んでいる方が、京都独自の公立高校普通科の受験制度について教えて下さりました。それに、私が調べた事を加えてご紹介します。
京都の普通高校の入試は、前期・中期・後期選抜に分かれています。この中で中期選抜は、評定平均を出す際に、副教科の点数だけを2倍にして計算するという独自のルールがあるそうです。個性を大事に。という事なのか、勉強ができない人にもチャンスを。という事なのか・・・。真意は確認していないので分かりません。しかし、普通教科より、体育を含む副教科の比重が高いこのルールは、体育の成績で戦えない私たちにとっては、より受験を難しくする制度となってしまいます。
この制度を分かりやすく解説してくれていたホームページでは、受験生へのアドバイスとして、『副教科を普段サボっている人は入試を半分捨てているのと同じです』というような事が書かれていました。
サボろうとしていないけど、見学するしか出来ない人も入試を半分捨てなければいけないのか・・。そんな訳ないですよね。
(このサイトは受験制度を親切丁寧にまとめて分かりやすく表現してくれているだけなので何も悪くありません。念のため。)
このように、病気を抱えている事で生じる運動制限によって、成績という社会的評価が下がってしまう。それによって、本当は行きたかった学校や進路に届かない。というような方が存在している。という事が、皆さんから頂いたコメントで分かりました。
長くなってきたので、一旦きりますが、
この続きには、
〇では、どんな対応、対策が考えられるのか。
〇そもそも、体育の見学時間をよりその子の将来のためになるような時間に有効活用出来ないだろうか。
〇運動経験の少なさや、疲れやすさ、心肺機能や筋肉の量の少なさなどから、運動音痴だと自覚する人が多いこと、運動自体が嫌いになってしまうこと。
〇学校を卒業してから、感じる社会的不利のこと。
〇職業選択について。
などなど、まだまだ皆さまが出してくれた意見や体験談があるので、少しずつまとめていきたいと思います。
ちょっと、この作業にはエネルギーを使うので、いつ更新できるかお約束できませんが、その辺りは暖かく見守って下さい(笑)。たぶん、皆さんのコメントを読んでいると、皆さんの真剣さとか、思いの強さとかが、当時の気持ちや今の気持ちが伝わってきくるし、もちろん適当には書けないですし、その思いをしっかりと届けないとと思うので、エネルギーを使うのかな。
長々読んで下さった方、ありがとうございます!
つづく。